ストレスから過食してしまう悪循環から抜け出したい…
このように思っている方向けの内容となります。
「イライラして食べ物を手に取ってしまう」経験、ありますよね。
特に近年ですと、コロナ禍でのストレスに加えて外出・運動の機会が減っていることもあり、過食気味の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、【ストレスで過食をする原因】と【過食を防ぐための対策】についてお話ししたいと思います。
ストレスで過食するのは何故?
脳内物質
最初に「何故ストレスがかかると過食をしてしまうのか」、そのメカニズムについてご紹介しましょう。
過食には次の【3つの脳内物質】が関わってきます。
- ノルアドレナリン
- ドーパミン
- セロトニン
続いて、それぞれの特性について見ていきましょう。
ノルアドレナリン
「ストレスに直面した時に分泌される物質」です。
分泌されると、血圧・心拍数が上昇し、興奮・緊張状態、つまり「戦闘モード」になります。
そうすることで、体を活動に適した状態へと仕上げるのが、ノルアドレナリンの働きです。
ドーパミン
「やる気や幸せ・満足感を感じさせる物質」です。
分泌されると、「頑張ろう」という気持ちになり、目的達成のためストレスに対応した行動をとることができるようになります。
心に深く作用するホルモンです。
セロトニン
「精神を安定・正常に保つ物質」です。
イライラや偏頭痛、憂うつな気分を防ぎ、心身のバランスをとる作用があります。上記二つがアクセルの役割を担う一方、セロトニンがブレーキの役割を果たすことで、心身のバランスが保たれます。
では、3つの脳内物質は過食にどのように関わってくるのでしょうか。結論から申し上げますと、これらのバランスが崩れることで、過食は引き起こされます。
過食のメカニズム
過食が起こっている時、上記の脳内物質は次のような状態になっています。
- ノルアドレナリン:過剰分泌
- ドーパミン:過剰分泌
- セロトニン:分泌不足
脳内物質がこのような状態だと、体は次のような反応を示します。
- ノルアドレナリンの過剰分泌による、必要以上の緊張。
- ドーパミンの過剰分泌による、意欲や快感を求める欲求の暴走。依存症になりやすい状態。
- セロトニンの分泌不足による、不眠・無気力・イライラへの抑制が効かない。
通常、緊張をもたらすノルアドレナリンとそれを中和するセロトニンの均衡がとれている状態であれば、必要以上に感情的になることなく、好パフォーマンスを発揮し、そのことによりドーパミンが発生、次の行動に対するやる気が増すという好循環へ繋がります。
しかし、ブレーキ役のセロトニンが不足すると、ノルアドレナリンが求められる量より多い状態になります。
そうなると、緊張は過度に強いものとなります。
強い緊張状態が続けば、それに対して脳はより多く報酬(快感)を求めます。
この状態が継続すると、結果として依存症に陥ることになります。
過食は、報酬が食べることに結び付いた、依存症の一種です(依存の対象は、場合によっては薬物や性などになります)。
効果的な過食対策
過食(依存症)から脱するためには、次のようなことが望まれます。
- ノルアドレナリンが分泌される原因であるストレスが少ない・回避することができる。
- ストレスへの抑制作用を持つセロトニンが十分な量分泌される。
続いては、そのための方法についてご紹介していきます。
◆過食対策その1「ストレスコーピング」
ストレスコーピングとは、「ストレスを感じた時の対処法」です。
実は、過食もこのコーピングの一つではあります。
しかし、体重の増加や自己嫌悪などの悪影響をもたらすものですので、この場合コーピングは、「過食以外のストレス対処法」ということでご紹介いたします。
▼コーピングの一例
具体的なコーピングの手法は、これといって固定されたものはありません。
重要なことは、「ストレスを軽減させる行動をすること」です。
食事以外で解消することができるアクションをチョイスし、過食という状態にならないようにする。
それが、「ストレスコーピング」なのです。
以下に一例を提示いたしますので、自分に合ったものを選んだり探したりしてみてください。
- ストレスに繋がらない趣味をする(勝ち負けがつくものは避けた方がよい)
- 有酸素運動をして汗をかく(慣れていない状態であれば、無理は禁物)
- 部屋の掃除をする(集中力と相談し、ダラダラにならないように行うのが吉)
- 動物と触れ合う(ペットがいなければ、動物の写真や番組でも可)
個人的におすすめなのは、有酸素運動です。
過食から遠ざけるだけでなく、代謝を改善することで脂肪が燃えやすくなります。さ
らに血行もよくなるので、意識がハッキリしアクティブになれます。
ただし、運動の習慣がない方がいきなり始めるのは危険ですし、三日坊主になる原因にもなりますので、まずは単純に歩くだけでもしてみるとよいでしょう。
過食対策その2「規則正しい生活」
近年のネットの発達などにより、つい夜更かしをしてしまう人も少なくないと思います。
そうした不規則な生活は心身のバランスを欠き、セロトニンの減少に拍車をかけ、過食の原因にも繋がります。
そこで重要になってくるのは、生活習慣の改善。特に「規則正しい生活」を送ることです。
以下のような「規則正しい生活」を意識することで、体内時計のリズムを整え、ストレスから心身の健康を守ることができます。
- 体内時計を調整する(起床時間や食事の時間を可能な限り一定にすることでリズムを作る)
- 1日3食とる(規則正しくとることで、全身の細胞の時計を整えることができる)
- 睡眠時間を一定に(決まった時間に陽光を浴びることで、脳の時計を整えることができる)
- 適度な運動(日中に行うのが吉。明るい所で過ごすことで、セロトニンの分泌が促される)
現代人がついおろそかにしがちな項目が多いですが、過食を防ぐため、健康に生活していくためにも、意識していきたいものばかりです。
特に食事は、仕事や運動をするためのエネルギーを生み出す重要な工程ですので、朝食を抜きがちな方やダイエットをされている方は、一度見直してみてはいかがでしょうか。
過食対策その3「セロトニンの分泌を促す食事」
セロトニンは脳内で生成される物質ですが、その材料となるのは「トリプトファン」という必須アミノ酸です。つまり、トリプトファンを多く含む食材を用いた食事をとることで、セロトニンの分泌を助けることができます。
以下のような食材に、トリプトファンは多く含まれています。
- 大豆食品(豆腐、納豆、味噌など)
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
- ごま
- ピーナッツ
- 卵
- バナナ
摂取量の目安は、体重1kgあたり2mg程度。例えば体重70kgの方は、140mgとなります。
もちろん食べるだけでは健康的とは言えません。適切な量の食事に加え、運動や陽光に当たることと組み合わせることで、より心身の健康を促進させることができます。
適切なストレス解消とバランスのいい生活習慣。これらを掛け合わせることで、過食の悪循環から抜け出しましょう!
(※個人での対処が困難な、重度の症状である場合には病院を受診することをおすすめいたします)
ストレスをやっつけていこう!
食欲と上手に付き合っていこう!
「食欲」は、三大欲求の一つに数えられるくらい人生の中でも重要なパーツです。
しかし、それも全ては心身両方の健康があってこそのものです。
これからの生活の中でより一層食べることを楽しむためにも、生活を見直してみてはいかがでしょうか。
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